ぷりんとばんじゅくV『新入社員のための実装入門』2020年版

まえがき

この度、ぷりんとばんじゅくⅤ新入社員のための実装入門を見直す機会を頂戴し、図や写真を増やして分りやすさを追求した内容に変更させて頂きました。
実装部品は小型化し、工程は自動化されているため、実際の現場を見学しても具体的な工程内容を詳細に把握することが困難になってきており、図を使っての説明や写真による現物を示してみました。
１９９０年代まで実装は最終製品を製造する会社が自社内で行ってきましたが、ＥＭＳ（Electronics Manufacturing Services）の登場により自社内の実装工場を売却し、外部のＥＭＳに実装・組み立て・検査を依頼する電機会社が増加していきました。このため、電機会社で実装に係わっていた人材がＥＭＳに流れていき、ＥＭＳが実装技術を支える構造に至っております。
同時に画像解析技術やパソコンの能力向上により、実装が人手によらないロボットや装置での作業が主体になり、半導体製造の設備産業に似た構造になってきています。通話機能、インターネット機能、カメラ機能、テレビ機能などを有するスマートフォンでは、４Ｇから５Ｇに移行する動きが始まり、移行によって遠隔地での手術や自動運転への利用なども検討されており、世の中の動きを大きく変えるものと期待されています。また、現在主流である内燃機関の自動車は環境問題から電気自動車に移行しようと欧州を始め各国が動き始めておりますが、安全が重視される車に対して求め
られる電気的信頼性を高めていくにはプリント配線板を始め、実装も重要な役割を果たす必要があります。
これらの領域に参入される方々が、現状の実装を早期に理解し、個々の課題や新規技術に取り組んでいくことを期待しております。プリント配線板の次世代、部品の次世代、はんだ接合の次世代、検査の次世代を見据えた挑戦に多くの方々が加わることが日本の「ものづくり」を支える大きな力になります。
皆様にとって有益な冊子となることを期待しております。

榧場　正男